離婚等Q1、離婚の方法

 離婚の方法としては、大きく分けると、協議離婚と家庭裁判所の手続を経た上での離婚の2つがあります。
  協議離婚とは、夫婦双方が離婚に同意して離婚届に必要事項を記載して捺印し、役所にこれを届け出ることによって成立する離婚です。
  しかし、夫婦の一方が離婚に同意しない場合には協議離婚はできませんので、家庭裁判所の手続を経た上での離婚を試みることになります。
 離婚に関する家庭裁判所の手続として、調停前置主義という建前が定められていますので、まずは、調停によって、男女1名ずつの調停委員に間に入ってもらい、夫婦双方が話合い、互いに譲歩して紛争解決を目指すことになります。調停委員の仲介によって、夫婦双方が離婚に納得すれば、調停離婚が成立します。手続的には、家庭裁判所が離婚調停成立したことを証する調停調書を作成してくれますので、これを離婚届(相手方の署名捺印は不要)とともに役所に提出します。
 ところが、夫婦の一方が離婚に同意しない場合には、離婚調停は成立しませんので、通常は改めて家庭裁判所に離婚訴訟を提起して離婚が認められるか裁判官に判断してもらうことになります。
ところで、離婚訴訟において離婚を認めるか否かを個々の裁判官の完全な裁量に委ねることは不公平な結果や妥当とはいい難い結果を招きますので、法律で裁判官が離婚を認めても良い事情を定め、裁判官の完全な裁量とならないように配慮されています。これを離婚原因といいます。
離婚原因は、
① 相手方配偶者に不貞な行為(自由な意思に基づいて配偶者以外の者と 性的関係を結ぶこと)があった、
② 相手方配偶者から悪意で遺棄された(正当な理由なく、同居・協力・扶助義務を履行しないこと)、
③ 相手方配偶者の生死が3年以上明らかでない(相手方親族等にも分からないことが必要)、
④ 相手方配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない、
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由がある、
という5つに限定されています。但し、限定されているとはいっても、⑤は相手方配偶者の暴力、浪費、性格や性の不一致、長期間の別居などにより夫婦関係の修復が不能な状況に至っている場合を包含します。
 離婚訴訟となれば、上記の離婚原因となる事実や事情があるかということの主張と立証をなし、裁判官がいずれかの離婚原因があると判断すれば、判決によって離婚が認められることになります。但し、①~④の事実が認められても、夫婦関係の修復が可能であると判断されれば離婚が認められないこともありますので、ご注意下さい。